(症状)
コロナ感染後、咳が止まらないので受診したところ、末期の肺がんが見つか
られました。
縦隔リンパ節に転移、腫れていたため、食道が圧迫して食事がし辛くなって
いらっしゃいました。また気管支を圧迫したため、右肺の中葉、下葉が潰れ、
胸水が溜まっていらっしゃいました。
腫瘍マーカーは、CEA 595.0ng/mL、シフラ 11.05ng/mL でした。
(所見)
肺がんの予後は、とても悪いと言われています。
ステージ4の場合、5年後も生きていらっしゃる方は10%以下とも言われます。
呼吸がいつ止まってもおかしくない状況でしたが、漢方薬を大量に服用開始
して頂きました。
炎症を鎮めるお薬を2種類、免疫系に作用し、更に組織の修復を促すお薬、
自律神経を整えるお薬を、通常使用する4倍の量、計1日4回食間の服用を
頑張って頂きました。
(経過)
喫煙歴がなかったので、遺伝子異常が疑われるため、がん細胞の遺伝子検査待ち
のため3週間程治療なしで待機。その後、特有の遺伝子は見つけられなかったため、
通常の治療法である、殺細胞性の抗がん剤と、がん細胞が免疫細胞の動きを邪魔しない
ようにするための抗がん剤を組み合わせた治療を3週間毎に行うことに決まられ
ました。
1ヶ月後、1クール目の終わり頃。
リンパ節の腫れが引いてきたのか、右肺の中葉が膨らまれました。
胸水を何度か注射器で抜かれましたが、いくらか自力でも水が引いたそうで、
湿性の咳が乾いた咳に変わられました。
食道のつかえが取れたのか、ご飯を食べることが出来るようになられました。
副作用として、血液が固まりやすくなる、便秘、白血球の低下がみられましたが、
きつさや吐き気等はなく、元気に過ごされました。
2ヶ月後、2クール目の終わりには、右肺がきれいに膨らみ、リンパ節の腫れが
6センチから2センチに縮小、胸水もかなり減っていらっしゃいました。
CEA 338.1ng/mLと減少。副作用の白血球低下は、少しずつ強く表れるように
なられましたが、だるさ等なく、元気に過ごしていらっしゃいます。
4ヶ月後。5クール目以降、殺細胞性の抗がん剤はなくなったのですが、
CEA 43.5ng/mLと、順調に減少されています。
漢方薬は、がん細胞を殺すのではなく、炎症を鎮め、免疫を高めることで、
がん細胞が生きやすい環境を壊していきます。
抗がん剤と漢方薬は、薬の効き方が違うので、併用することでの相乗効果は
期待できると考えられます。
長年の生活で崩れてしまった身体のバランスを整えますので、抗がん剤による
副作用や、病気そのものからくるきつさやだるさも改善します。
ただ、身体が楽になったからと言って、ここで動き回らないように注意して頂いています。
持っている体力の全てを、がんの治療に充てて頂くためです。
(今回のお薬代は、1日あたり1,540円でした。)