以前、私の師匠は、「漢方薬は物理、西洋薬は化学」と
言っていたことがあります。

化学的な薬の効き方は、イメージがしやすいでしょうか。
体の中で、細胞は、様々な化学物質を通して、お互いに意思疎通を
しています。
呼吸したり、血圧を上下させたり、免疫反応を起こしたり・・・
あらゆることに、化学物質が関わっています。
ですので、それによく似たものを薬として服用することで、体内で
して欲しくない反応を止めたり、逆に弱くなった反応を強めたりと
調節することができます。
これが、西洋薬を使った病気の治療になります。

では、物理的な薬の効き方とは、どのようなものでしょうか。
パラメータの過不足で、治療方針を決めていきます。
東洋医学では、体の構成を、気、血、水の3つに分けて考えますが
気の不足や滞り、水の冷えや過剰、血の不足や滞りを確認して
気、血、水が過不足なく、バランスよく体を巡っている状態に
近づけることで、治療を行います。
気、血、水のどこに異常があるか、その場所はどこか、によって、
使用する生薬が変わります。

そうすると、不思議なことに、肺炎だったり、自律神経失調症だったり
嘔吐や腹痛などの消化器症状が、同じような薬で改善されたりします。

アプローチ法が異なるので、西洋医学では難病と呼ばれるものが、
漢方薬で改善したりするのです。